過去の話

過去の話

横断歩道を渡るのでさえ怯えていた

私のいた高校の目の前には、左右に真っすぐ伸びる気持ちのいい道路があった。突き当りは陽炎でぼやけてしまうほどの真っすぐな道路だ。車通りはそこまで多くなく、見晴らしがいいからか、結構なスピードを出している車が多い。そんな道路を横切る横断歩道が、...
過去の話

気を遣わない気遣い

気を遣われるとそれが伝播してきて、「こっちも気を遣わなくちゃ」って窮屈になるから、だからせめて私は「自分のために生きているように振舞おう」と思ったんだった。 気を遣うという行為は、友人は増やせても、親友は減らすことだと思っている。 だからで...
「ことば」について

【心に蓋をするまで】一日20文字

「うん」 「まあ」 「いい」 「んー...」 「いや?」 「あーい」 僕が家で口にしていた言葉だ 日常会話でよく使う言葉たち。 これを見ただけでは 変に思わないと思う しかし、僕が実家にいた20数年間、 ほぼこれだけで生活が成り立っていた。...
「ことば」について

言葉と出会うまで

私はおおらかで大人しい子どもだったので、しゃべりたい人が勝手に寄ってきて、相手が一通り満足するまで、うんうん、と聞いている子どもだった。正直その話の内容はさほど頭に入っていなかったが、ただニコニコしながら相槌を打っている私に、相手も満足して...
「ことば」について

言葉のない世界を生きていた

物に八つ当たりをする子供だった。他人を傷つけるのが苦手だからかもしれない言葉にするのも苦手だからかもしれない自分を傷つけることもいけないことだと教わっていたからできなかった 抑えきれずに溢れ出した感情が流れ着く先はいつも、物だった。 ある日...