詩|風船

指先から離れた感触が妙に残っているから風船が飛んで行ってしまうのが怖くってあんなに好きだった青空が大きな穴のように感じてそんな穴と隣り合って暮らしているんだと思うと落ち着かない手を放してもいいように布団にくるまって風船ごと閉じ込めて信じてあ...

詩|救命胴衣と好奇心

「君はどうして浮いていられるの」「それはね、泳ぎ方を知っているからよ」澄ました顔で君は言う「君はどうして深海の景色を知っているの」「それはね、そこで生まれたからよ」「じゃあどうして空の景色も知っているの」「それはね———」もう溺れてもよかっ...

はりぼて

どっちも悪いと思うよ。「どっちが悪いと思う?」 喧嘩している両親にそう聞かれた。喧嘩両成敗という言葉はその時の僕をちょっぴり救ってくれた。 できれば誰も傷つけたくない平和主義者なのだけれど、気を遣うのには体力を使うからなのか自分を封じ込めた...

自己暗示

確かに自分に暗示をかけている以前と比べてどちらが苦しいかと言われると、何も好きじゃない以前よりは苦しいことは増えたけどマシ。生きる意味が分かっていないのに、生の実感を求めて、溺れて。誰も見ていない家の中で傷の残らない自傷行為を繰り返している...

ケンカ

気の合う友達 趣味の合う友達 話の分かる友達 そうやって分類して、 切り捨てる 嫌な部分を、切り捨てる。  気づいたら嫌だと言える友達がいなくなっていた。   ぶつかり合わないと寂しさを忘れられないよ なのに、 どうして来るなって言ったらみ...