詩 詩|風船 指先から離れた感触が妙に残っているから 風船が飛んで行ってしまうのが怖くって あんなに好きだった青空が大きな穴のように感じて そんな穴と隣り合って暮らしているんだと思うと 落ち着かない 手を放してもいいように 布団にくるまって 風船ごと閉じ... 2023.05.30 詩
詩 詩|救命胴衣と好奇心 「君はどうして浮いていられるの」 「それはね、泳ぎ方を知っているからよ」 澄ました顔で君は言う 「君はどうして深海の景色を知っているの」 「それはね、そこで生まれたからよ」 「じゃあどうして空の景色も知っているの」 「それはね———」 もう... 2022.10.20 詩
詩 はりぼて どっちも悪いと思うよ。 「どっちが悪いと思う?」 喧嘩している両親にそう聞かれた。 喧嘩両成敗という言葉はその時の僕をちょっぴり救ってくれた。 できれば誰も傷つけたくない平和主義者なのだけれど、 気を遣うのには体力を使うからなのか自分を... 2022.07.15 詩
詩 自己暗示 確かに自分に暗示をかけている 以前と比べてどちらが苦しいかと言われると、 何も好きじゃない以前よりは苦しいことは増えたけどマシ。 生きる意味が分かっていないのに、生の実感を求めて、溺れて。 誰も見ていない家の中で傷の残らない自傷行為を繰り返... 2022.07.01 詩
詩 ケンカ 気の合う友達 趣味の合う友達 話の分かる友達 そうやって分類して、 切り捨てる 嫌な部分を、切り捨てる。 気づいたら嫌だと言える友達がいなくなっていた。 ぶつかり合わないと寂しさを忘れられないよ ... 2022.06.07 2022.06.15 詩