『葡萄』

 

やっと 偶然をよそい ふれたおまえの右肌が
ざらざらと 粗い服のようにしていた
瞑ればかすかな天鵞絨も
胸に羽織った みずからの声によるものだった

朝、水のしたたるあの透明の
すりぬけて消えた海月のような 雪のような
終わりを願う少女の横顔も
すべて わたくしの幻想のうちに

朝、湿原に映る空気の からりとした秋の日に
そうして完成した 円環な孤独が
重みに耐えかね 落下するのを感じた

いつの間に青年も過ぎ
朝、鉄道のかきならす活気の傍らに
夜の海の色に熟れた葡萄が転がっていた

 

 

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