花|26.3.23 魔法どき、池袋

 

池袋───サンシャインシティ前
知らない街に迷い込んだように、魔法がかった黄昏どき。
ビルと高架のすき間を墜ちんとする三日月が 一夜限りの花のよう。
この場にふさわしい歌をと探すけど、それは言葉でも旋律でもなく この感傷そのものなのだと気づく。久方ぶりの息を吐くと、春先とは思えないほどに 曇った。
ああきっとこの壊れたさは熱病のせい。されどたしかに壊れたく。そう手を伸ばして薬に浸る。今を生きよう。痛むたびに休んでいたら何もできない。 これが女の生き方だ。 頭が、痛い。

三井住友銀行前───スクランブル交差点
枯れるほどの大声で 少年がビラを配っていた。
無視され続けること数秒。赤ん坊が泣き叫んでいるかのような空気、白い目。本能的に私は首を大きく縦に振り 楽しげに微笑んで味方する。なお足りず、身を翻して声を掛けている。  私とあなたでは、叫び方がちがうだけ。そのつらさを私は痛いほどよく知っている。
しかし想いをその場で伝えられたら、書いてなどいようはずがない。たわいもないことを幾らか聞けただけで、応援したい気持ちばかりが停滞する。
頭が飽和してしまったので、精一杯の乱辞を贈って、別れた。
あなたの灯火はたしかに私の瞳を貫いた。井公亮。遮二無二生きよ。

  鳥を見ていた
  すると伸びゆく光の蔦を見た
  意識燃ゆるほどに土肥えて、やさしく丈夫な草育つ
  死んだっていい───そう思えることが大切なのだ。

 

 

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