『瓶詰めの手紙』

 

灰のあざやぐ黄昏れに
  いつしかに 埠頭ふとうの煌めくただなかに居た
潮風のかぐわしく欠けて さらわれて
  たましいが 遠い波間に揺らめいていた
欠けたままふさいだガラス細工の空のこと─────
  おまえを愛せるものとばかりおもっていた
水で延ばした紺青に しかしすっかり灰のびて
  漁船星団は見えるのに フェリーのひとつ響きやしない
その日 なぜそんなところに居たのかと 私にもよくわからないのです
  ガラスの瓶に投じても 残されるのは波ばかり─────
すまない おまえにはさみしい思いをさせてしまうね
  欠けて痛い人と出会いなさい 私ではだめ 私では

 

 

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